職業紹介をめぐる法的な問題等について
永年職業安定行政に従事し、退官後は法律関係の仕事に携わることとなったことから、職業紹介について、法的な面からその性格・内容あるいは関連する問題等に関し、自身で調査・検討された内容を紹介する。
キャリア・カウンセリング、ガイダンスそしてコンサルティングへ
労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練等を効果的に行えるよう相談援助、支援をするキャリア・コンサルティングが雇用対策の柱として開始されてから10年余、6万人を超えるカウンセラーやコンサルタントの方々が各分野で活躍されている。
さらに平成20年度からは、キャリア・コンサルタントの技能水準を公証する国家検定制度(技能検定)が開始されている。
わが国職業紹介・職業指導の系譜 ―その過去、現在、未来―
職業紹介・職業指導は、現在わが国でも世界各国でも雇用政策の最も中心となる対策である。わが国では、戦前の職業紹介法以来、今日では雇用対策法、職業安定法という基本法によってその理念、手法を明らかにして実践してきた。
OECD、ILOなどの国際機関、EU諸国も「各種経済政策よりも、具体的職業紹介・職業指導が就職を促進すること」を明らかにし、各種の提案をしている。
職業紹介・職業指導は、具体的には「キャリア・ガイダンスとカウンセリング」(前シリーズで解説した)である。
本シリーズでは職業紹介・職業指導に限ってその行政方針、理論、具体的展開の過去、現在、未来を考えてみる。
永年この世界で実践、研究、教育に携わってきた筆者にとっても初めての試みで自信はないが、多くの方々に読んでいただければ幸いである。
キャリアコンサルティング ―その過去、現在、未来―
雇用対策法、職業能力開発促進法の改正によって、キャリアコンサルティングが我が国の雇用対策の重要な柱として発足から15年、ほぼ5万人を超えるキャリアコンサルタントの方々が学校教育、就職支援、企業の能力開発、さらには医療・福祉、介護、地域活動などの各分野で活躍されています。
さらに、平成27年度からは、キャリアコンサルタントの技能水準を国家基準により公称する「国家資格化」が開始されました。また、すでに開始されている技能検定(指導者レベル1級、熟練レベル2級)との連携もいろいろな工夫が開始されています。
そのときに当たり、キャリアコンサルティングの「過去、現在、未来」を考え、その問題、あるべき姿、課題等を整理し、職業安定行政に関わっておられる方々の参考に供したいと思います。