キャリアコンサルティング ―その過去、現在、未来―

第6回

キャリアコンサルティング協議会の具体的展開、キャリアコンサルティング技能検定の開始

1 キャリアコンサルティング協議会の具体的展開

(1)その内容

平成16年当時から「キャリアコンサルタントの資格の確保のあり方検討会」は、各試験機関の独自性を認めつつ定期的に話し合う場が必要であることを提言していたが、これを受けて、同年5月「キャリアコンサルタント養成講座・能力評価試験実施機関連絡協議会」が設立された。その構成員は、各試験機関、中央職業能力開発協会(特別会員)、(社)日本経済団体連合会、厚生労働省、(独)雇用・能力開発機構(以上賛助会員)により新たな出発を開始した。

(2)具体的活動の開始

協議会は、次のような新たな活動を開始した。

① キャリアコンサルタントの行動原則、活動範囲の決定(行動憲章)

② 定期的な全国大会、セミナーの実施

③ 指導者事前研修プログラムの設定と試行

これらのうち、行動原則では、次の5つの行動原則をあげている。

・キャリアコンサルティングの本質を理解し、自己研鑽を続け行動すること。

・相談者の「自分らしさ」の追求と、問題解決の支援を行う。

・個人では対処できない環境の問題を発見し、改善する。

・自己の経験や自説のみにこだわることなく、相談者の立場に立って、活動する。

・客観的な評価を行い、適切な指導を受けることによって活動の質を高める。

この行動原則によってカウンセリング、教育への普及、環境への働きかけ、スーパービジョン、自己研鑽の5つの活動をあげ、それを実行するうえでの「行動規律」を定めた。行動憲章序文の中で、その意欲の一端を次のように述べている。

「我が国のキャリアコンサルティングは今まさに歩み始めたばかりである。その歩みを始めるにあたって、日本的経営がアメリカ企業に影響を与えたように、我が国のキャリアコンサルティングがアメリカのカウンセリングに影響を与えるほどの気概を持ちたい。
(中略)我が国の文化や国民性に根ざした我が国独自のキャリアコンサルティングの確立を目指す」

協議会は、その後平成17年「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会」として正式に組織化し、キャリアコンサルタントの養成、資質の向上、社会への普及と啓蒙活動、調査・研究、年次大会の開催など我が国唯一のキャリアコンサルタントの職能団体として多様な活動を行っている。

2 キャリアコンサルティング技能検定

技能検定とは

技能検定とは、労働者の有する技能を一定の基準により検定してこれを公表する国家資格である。試験は、政令で定める職種ごとに等級(特、1~3級、等級区分なしなど)を定め、厚生労働省大臣が学科試験及び実技試験を行う。
 検定試験は127職種(1級建築大工技能士など)があり、厚生労働大臣が実施計画を定め、各都道府県職業能力開発協会と民間の試験機関が試験を実施している。
 技能検定職種は、総じて機械、建設、食品印刷などの製造業系が多いが、最近はウェブデザイン、フィナンシャル・プランニング、知的財産管理、金融窓口サービス、レストランサービスなどホワイトサービス系職種が追加されてきた。
 これらの職種15職種については、民間指定機関に試験の実施等委託して試験が行われている。キャリアコンサルティングは、前述のとおり、特定非営利法人キャリアコンサルティング協議会が指定を受け、技能士1、2級の試験を行っている。

3 キャリアコンサルティング技能士の具体的内容

(1)2級キャリアコンサルティング技能士試験

平成20年に初めて行われた第1回「キャリアコンサルティング(2級)」の概要は、要点下記のとおりである。

① 認定レベルは、個人の相談に対して、相談者(クライエント)の問題の見立て、目標の設定、解決のための方策の実行をできるレベル(熟練レベル)を想定し、そのための知識、スキルを評価する。

② 試験の形式は、学科試験と実技試験。学科試験は4肢択一、50問、100分。

実技試験は、論述と面接、論述は1ケース60分、ケースの逐語記録を読んで質問に答える。

面接は1ケース30分、事前に提示されている5つのケースの中から、当日提示されたケースを対象にしたロールプレーと面接。

③ 試験の範囲は、学科、実技とも「キャリアコンサルティング実施のために必要な能力基準項目」(厚生労働省)。

④ 受験資格は、5年以上実務経験を有する者、大学において検定試験職種に関する科目を20単位以上履修し、卒業した者で、4年以上の実務経験もつなど5つの要件がある。

⑤ 試験実施場所は、第1回平成20年の場合、学科試験は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7会場。実技試験は東京、大阪の2会場。

(2)1級キャリアコンサルティング技能士試験

平成23年からは、指導者レベルの1級キャリアコンサルティング試験が開始された。その要点は、以下のとおりである。

① 認定レベルは、個人の相談支援を2級より高い水準で、的確に行う能力、組織への働きかけや、関係者との連携などのコーディネート能力、キャリアコンサルタントからの相談に対して、不安を解消し、気づき、アドバイスができる指導能力。

② 試験の形式は、基本的には2級と同じだが、学科試験は5肢択一、マークシート方式、論述は2ケース20分など若干の違いがある。

学科試験科目は、2級と同じもののほか、グループアプローチ、教育指導、事例指導などが加わる。

1、2級とも、試験制度の事務的な部分については、キャリアコンサルティング協議会に聴けば説明してくれる。

連載第6回は、キャリアコンサルティング協議会の具体的展開、キャリアコンサルティング技能士の出発の要点を解説した。いずれも、今日のキャリアコンサルティング活動の基本であることに留意されたい。


《引用・参考文献》

1 木村 周「キャリアコンサルティング 理論と実際(4訂版)」 平成28年5月(一般社団法人雇用問題研究会)

2 「キャリアコンサルタント・行動憲章・倫理綱領」平成25年(特定非営利法人 キャリアコンサルティング協議会)

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