キャリアコンサルティング ―その過去、現在、未来―

第8回 キャリアコンサルティングの当面する課題

技術革新の進展、産業構造の変化、労働者意識の多様化等に伴う労働移動の増加、職業能力のミスマッチの拡大等に的確に対応し、雇用のミスマッチを解消するために、職業能力開発を「労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力開発(キャリア開発)」として、職業能力開発促進法に根拠をおいて、平成13年にキャリアコンサルティングが開始されてから今年で17年になる。

その後、まもなく10万人にも達するキャリアコンサルタントが学校教育、就職支援、企業の能力開発、さらには医療・福祉、介護、地域活動などの各分野で活動している。さらに平成20年度からは、キャリアコンサルタントの技能水準を国家基準により公証する国家検定制度である「技能検定(指導者レベル1級、熟練レベル2級)が開始された。

また平成27年には勤労青少年福祉法、職業能力開発促進法、職業安定法など関係法の一部改正が行われ、「キャリアコンサルタントの国家資格化」が実現した。

今回は、「キャリアコンサルティングが現在どのような問題に直面しているかの当面の課題」を取り上げたいと思う。

1 キャリアコンサルタントが取り扱わねばならない対象者の範囲の拡大

キャリアコンサルルティングは、当初企業等組織の中で働く人のキャリア形成支援を対象として発足した。

ところが現在は、企業内で働く人を対象とするキャリアコンサルティングは、全体のほぼ3分の1程度に限られて固定化し、これから働く人となる生徒や学生、失業者、転職を考える潜在失業者、引退後地域活動や福祉活動に参加する高齢者などが増加している。

2 中小企業へのキャリアコンサルティングの拡大の必要性

キャリアコンサルティングは、制度発足以来どうしても大企業中心に進められた。制度の内容、教育・訓練、対象の相手などの条件によりやむを得ない点はあった。キャリアコンサルテイングの内容の決定、担当者の任命、教育などは、制度上事業主にあるからである。

しかし、事業主の権限で計画された社員に対するキャリアコンサテルティングが実際に行われるのは、支店、地方の事業所、工場など地方の現場である。これらの現場は深く地域と密着している。キャリアコンサルティングは中小企業と地域との関係の確保のための多くの課題を抱えてきた。

3 キャリアコンサルティングと対象者の心身の病気、障害、治療への対応に関わる必要性

事業所、就職支援、学校などいずれの場面でも、キャリアコンサルタントは、心身の病気、障害、治療への知識と対応を求められている。また、働きながら治療を続けていく組織や産業医等医師の助けを受けなければならない状況にある。このことは、今日多くのキャリアコンサルタントが直面している課題である。

4 最近、直面している法律、行政上の問題

法律、行政上の問題は、キャリアコンサルタントとして必ず守らなければならない問題である。そのため法律、制度の研修の受講、基礎的な理解など必ずやらなければならないことが伴う。

ここでは、それらのテーマだけを提示しておく。

・第10次職業能力開発基本計画

・職業能力の評価(職業能力の評価基準、ビジネス・キャリア検定試験)

・セルフキャリアドック

・ストレスチェック制度の実施

・新ジョブ・カード制度

5 法律、指針、制度など

上記問題の法律、指針や制度、調査等の改正・更新に伴う法律、調査などの根拠を記載しておくので必要に応じて実際に見てもらいたい。

・職業安定法、労働安全衛生法、労働基準法、職業能力開発促進法

・THP指針、労働者のこころの健康の増進のための指針、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引、心理的負荷による精神障害の認定基準、労働安全衛生調査(実態調査)、大学等における学生支援の取り組み状況に関する調査


第8回は、キャリアコンサルティングの当面する諸問題について、テーマと現状についてまとめた。読者は、項目ごとに直接それぞれの問題にあたって、それぞれの現状をどう解決すればよいか考えてもらいたい。


《引用・参考文献》

木村 周「キャリアコンサルティング 理論と実際(4訂版/5訂版)」 平成28年5月/平成30年9月(一般社団法人雇用問題研究会)

ページトップへ

トップページ お知らせについて 一般財団法人 日本職業協会について 職業に関する情報・資料等 リンク集