キャリアコンサルティング ―その過去、現在、未来―

第7回

勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律とキャリアコンサルティングの国家資格化

 勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案の諮問と答申

平成27年2月27日、政府は労働政策審議会に「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案要綱」を諮問した。審議会は職業安定分科会、職業能力分科会ごとに審議され、ともに「おおむね妥当と認められる」との答申を得た。

第189通常国会に提出された主な内容は以下のとおりである。

1 円滑な就職実現等等に向けた取り組みの促進(勤労青少年福祉法等の一部改正)

(1)関係者の職務の明確化等

国、地方公共団体、事業主等の関係者の責務を明確化するとともに、関係者相互に連携を図ることとする。

(2)適職選択のための取り組み促進

① 職場情報については、新卒者の募集を行う企業に対し、企業規模を問わず幅広い情報提供の努力義務、応募者から求めがあった場合は募集・採用状況、労働時間に関する状況、職業能力の開発・向上に関する状況を提供しなければならない。

② 提供する情報は、募集・最上に関する状況、労働時間等に関する状況、職業能力の開発・向上に関する状況。

③ ハローワークは、一定の労働関係法令違反の求人者について、新卒者の求人申し込みを受理しないことができることとする。

④ 青少年に係る雇用管理の状況が優良な中小企業について、厚生労働大臣による認定制度を講ずる。

(3)職業能力の開発・向上及び自立の促進

① 国は、地方公共団体等連携し、青少年に対し、ジョブカード(職務経歴等記録書)の活用や職業訓練等の措置を講ずる。

② 国は、いわゆるニート等の青少年に対して、特性に応じた相談機会の提供、職業生活における自立支援のための施設(地域若者サポートセンター)の整備等の必要な措置を講ずること。

③ その他、勤労青少年福祉法の題名を、「青少年の雇用の促進等に関する法律」に改める。

ハローワークが学校と連携して職業指導等を行う対象として「中退者」を位置づける。(職業安定法改正)

2 職業能力の開発・向上の支援(職業能力開発促進法の一部改正)

① ジョブカード(職務経歴等記録書)の普及・促進

国は、職務の経歴、職業能力等を明らかにする書面を定め、その普及に努める。

② キャリアコンサルタントの登録制の創設

キャリアコンサルタントを登録制とし、名称独占・守秘義務を規定する。

③ 対人サービス分野等を対象にした技能検定制度の整備

技能検定の実技試験について、厚生労働省令で定めるところにより検定職種ごとに実践的な能力評価の実施方法を規定する。


第7回は、「キャリアコンサルティングの国家資格化」について、その要点を示した。

キャリアコンサルティングの開始以来、この数年で、「キャリアコンサルティングの国家資格化」は理論的にも実践的にも大きな影響を与えている。

キャリアコンサルタントが5万人にも達しようとしている今日、改めて原点にかえって考えてもらいたい。


《引用・参考文献》

木村 周「キャリアコンサルティング 理論と実際(4訂版)」 平成28年5月(一般社団法人雇用問題研究会)

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