第9回 ハローワークにおける職業指導・職業紹介の実際(その1)
求職者のニーズに応じた相談・援助の在り方
1 求職者のニーズに応じたサービスの考え方
(1)求職者のニーズを把握する際の2つの観点
求職者に対する職業指導・職業紹介を適切に行うためには、まず、求職者自身の求人に対する希望条件、ハローワークにどんなサービスを求めているかの両面から考える必要がある。
(2)ハロ-ワーク・サービス側からみた求職者サービス
一方、サービスを提供するハローワーク側には、どんなサービスを提供すべきか、提供できるかという観点が必要になる。それは大別すると、次の3つのサービスである。
① 求人情報サービス:求職者に求人情報を提供するサービス。求人情報端末等を利用した「公開求人の閲覧」が一般的である。
② 課題解決支援サービス:求職者が就職するうえで解決すべき課題を把握し、その解決のために必要な支援を行うサービス。「職業指導と職業相談」が手法となる。
③ あっせんサービス:求職に具体的な求人をあっせんするサービス。具体的には「職業紹介」そのものである。
上記3つのサービスを行うにあたって、ハローワーク側は特に下記の求職者のパターンに留意して行うことが大切である
① 就職を実現するための課題・阻害要因を有している者
② 就職を実現する各種の課題等が、特段ない者
③ 求人情報の提供が必要な者
④ 求人の選択が、自分ではできない者
2 求職者の「受付・把握・誘導」時における求職者サービスの流れ
(1)サービスの流れ
この時点に行われるサービスは次の4点である。
① ハローワーク利用状況とハローワークカードの確認
② 求職申込書用紙の交付と記入指導
③ ハローワークが提供する各種サービスの内容の説明
④ 求職者の特性・状況の把握と誘導(求職者の特性、緊要度、求職者のニーズ)
(2)サービスの具体的展開
「受付・把握・誘導」時における具体展開は、一般に下記の流れで行われる。
1)窓口の振り分け
求職者が初めてハローワークを訪問したとき、受付窓口において一般窓口、専門援助、障害者、雇用保険などに応じて振り分けを行う。
単なる受付窓口の認識ではなく、ハローワークの印象を決定する重要な認識をもって対応しなければならない。対人業務の場合、如何なる場面でも「第一印象」が決め手になることに留意しなければならない。
2)求職活動の基礎知識とハローワークサービスの紹介
一般に下記のような、流れで行われる。パンフレット等の資料を使われるのが普通である。
① 就職または再就職までの流れ(自己分析、労働市場の把握と希望条件の設定、求人検索、応募書類作成、面接)の明示、説明。
② 就職、再就職までの流れにそって、各段階でハローワークが提供できる支援策を明示、説明(ハローワークが全てをやるわけではないことを説明する)。
③ この相談窓口以外に、希望があれば、希望に添って支援策を受けられる方法があることを説明、その場合の申し出先等を説明する。
④ 求人票の見方、求人検索・選定の方法等に関する説明(ハローワークカードの交付を受けている者を除く)。
⑤ 求職申込書の交付と記入説明(ハローワークカードの交付を受けている者を除く)。
3)支援内容の決定と求職申込の受理、求職処理番号の作成
この段階は、求職希望条件等に関する内容確認、内容をより豊かにする相談である。具体的に行う支援策は、下記の通りである。
① 求職希望条件等に関する相談、ヒアリングの中で、すでに問題があることが把握された場合は、「課題解決支援サービス」を行う検討に入る。求職者自身が希望する場合も同様である。次回以降の支援についても内容、窓口、支援策を受けられる方法など検討し、了解を得る。
② 特段問題が認められず、本人も求人情報検索、応募等を行ってみたいと意思表示している場合は「あっせんサービス」に入る。
③ 「課題解決支援サービス」、「あっせんサービス」の如何ににかかわらず、次回以降「応募方法にかかる知識の確認、履歴書、職務経歴書、応募書類、面接の受け方等の支援を行う(全員必須、実施時間等固定しない)。
ハローワークの「求職者サービスの流れの概要」は、図の通りである。
今回は、「受付・把握・誘導」の部分を解説した。
《引用・参考文献》
厚生労働省職業安定局「一般職業職業紹介業務取扱要領」 2011