第27回 紹介手数料不払い、求人者の倒産等への対応
1 紹介手数料の不払いへの対応
求人者側の事情により、紹介手数料が支払われないということが、まま起こることがあるが、そのような場合紹介所としてどのような対応をとることが可能かについて、以下説明することとしたい。
(1)紹介手数料が支払われないときの対応
■内容証明郵便
紹介手数料を支払わない求人者に対し、支払を請求する手段であり、日本郵便(株)がいつの日付で紹介所が求人者あてに紹介手数料に関しどのような内容の請求をしたかを紹介所が作成した謄本により、その内容を証明する郵便のことをいう(インターネットを通じてe内容証明によることもでき、便利で利用料金も安く済む。)。
なお、求人者の対応をみて、普通郵便で対応することも考えられる。
■支払督促
裁判所(簡易裁判所)書記官が、紹介手数料を支払わない求人者に対し、簡易迅速に金銭の一定額等の給付を命ずる手続きであり、当該求人者が支払いをせず督促異議を申し立てない場合には、一定の手続きを経て強制執行を行うことができる。ただし、当該求人者から督促異議が申し立てられた場合は、訴訟手続きに移行することになっている。
■調停
裁判所(原則簡易裁判所)において、調停委員会の仲介等により、話合いで紛争を解決する手続きであり、求人者が調停で定められた紹介手数料を支払わない場合には、一定の手続きを経て強制執行を行うことができる。解決に至らなかった場合は、改めて訴訟等で争うことになる。
■小額訴訟
60万円以下の紹介手数料を簡易裁判所に請求する場合に限り、あまり複雑でない紛争について、原則として審理を1回で終わらせその場で判決を出す訴訟のことであり、求人者が判決に従わない場合には強制執行を行うことができる。なお、求人者の申述等により、通常訴訟に移行する場合がある。
■通常訴訟
裁判所(140万円を超える求人手数料を請求する場合は地方裁判所、それ以下のときは簡易裁判所)が法廷でお互いの言い分や証拠に基づいて、判決という形で判断を示し、紛争を解決する手続きであり、求人者が判決に従わない場合には強制執行を行うことができる。
(2)求人者が支払いに応じない場合の対応
■保全手続き―仮差押
求人者から確実に求人手数料を回収するために訴訟での判決より前に、求人者の財産を仮に差し押さえる手続きである。
■民事執行手続き―強制執行手続き
判決などの債務名義を得た紹介所の申し立てによって、裁判所が紹介手数料を支払わない求人者の財産を差し押さえてお金に換え(換価)、紹介所に分配する(配当)などして紹介所に手数料を回収させるという裁判所が強制的に回収を実現する手続きである。
強制執行の申し立ては、差し押さえたい債権の所在地を管轄する地方裁判所である。最もよく行われる銀行預金を差し押さえる場合はその銀行の所在地を管轄する地方裁判所である。
なお、簡易裁判所の続きで債務名義(小額訴訟判決等)を得たときに限り、地方裁判所以外にその簡易裁判所に申し立てをすることができる。
(3)求人者が倒産した場合の対応
イ 任意整理
■清算・再建型
求人者との個別交渉等で債務を減らす方法であり、6割程度がこの方法で処理されている。
支払いの原則は民法や商法の規定により、裁判所等の監督がなく、スピーディーな解決が図られるが、場合によっては早い者勝ちの回収になる可能性がある。
ロ 法律上の倒産手続き
■破産―清算型
会社等は解散し、破産管財人が清算事務を行い、すべての財産を分配して清算する方法であり、3割程度利用さている。
裁判所の監督があるので公平透明な手続きであるが、手続きが終わるまでに時間がかかる場合が多い。
■民事再生―再建型
主として中小企業等を対象に、原則、それまでの経営者が事業経営を継続しながら再建を目指す方法(約5%程度の利用)であり、裁判所等が監督して行われるものである。
手続きに拘束される関係者の範囲を限定するので、簡易迅速な処理が可能であるが、無担保債権者の権利のみを制約するので手続きの効力が弱い。
その他、主として大企業を対象とした会社更生手続きがある。
2 賃金不払いへの対応
求人者が倒産等した場合、求職者への賃金不払いも発生しがちであり、紹介所としても直接の当事者ではないが、その対応を知っておくことが大事と考えられる。
賃金不払いが生じた場合、求職者が対応すべきであり、まずは労働基準監督署に相談・申告を行うのが適切である。
これで回収できない場合は、未払い賃金の立替払い制度を利用することとなる。
未払い賃金の立替払い制度とは、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、その未払い賃金の一部を政府が事業主に代わって立替払いする制度である。実際の実務は労働者健康安全機構が行っている。
この請求をするには請求ができる期間があり、また立替払いの対象となる未払い賃金にも期間制限があり、さらに労働者の年齢に応じ一定の上限が設けられている(詳細については、労働者健康安全機構のホームページを参照のこと)。
3 おわりに
紹介所としては、求人者の倒産等の場合は、自己の紹介手数料のほか、求職者の賃金についても直接の当事者ではないが、関心を持ってアドバイス等の対応を図るのが望ましいと考えられる。